生命保険の必要保障額はいくら?目安と算出方法のポイント
自身の収入で家族の生活を支えている方は生命保険に加入する必要性が高いと言えます。
しかし、生命保険にはさまざまなプランがあり「どれに加入していいのか分からない」という方が多いのも事実です。
生命保険を選ぶ際の着目ポイントのひとつとして挙げられるのが「保険料の額」です。
加入者の家族環境によって、適正な保険料は変わってきます。今回は生命保険の必要保障額について解説します。
【目次】
生命保険の必要保障額って何?
「月々の保険料が安いから」「保障が充実しているから」という理由だけで生命保険を決めてしまうのは早計かも知れません。
保険にはさまざまなタイプの商品があり、種類によって保障の範囲や解約返戻金(契約を解約する際に払い戻されるお金)の有無も異なります。
保険を選ぶ際には商品の全体像を把握し、自身の求める保障に合致しているのかを見極めることが大切です。
そこで、ポイントになってくるのが「必要保障額」です。
必要保障額とは、加入者が死亡した際に、どの程度の金額が必要なのかを目安として算出したものになります。
必要保障額に含まれるのは
● 加入者が死亡したためにかかる費用
● 遺族の生活に必要な費用
の2点です。
「加入者が死亡したためにかかる費用」を具体的に挙げると、
葬儀や墓、遺品整理などにかかるお金を指します。
対して「遺族の生活に必要な費用」は
家族が暮らしていくための生活費や子供がいる場合は学費などが含まれます。
必要保障額は、加入者の年齢や家族構成によっても変わってくるため、生命保険に加入する前に自身で算出しておくことがポイントです。
必要保障額について考えるポイントは?
ここでは必要保障額を考えるポイントについて、会社員の夫、専業主婦の妻、2人の子供がいる家庭を例に解説していきます。
まずは、加入者(この場合は夫)が死亡した際に必要な「支出」を計算します。
賃貸物件で暮らしている家庭であると想定し、
● 物件の家賃や光熱費
● 水道代
● 子供を進学させるための学費
● 夫の葬儀代など
を支出として計算します。
支出の合計を遺族の収入から差し引きますが、妻が専業主婦である場合収入はないようにも受け取ることができます。
しかし、夫が死亡すると健康保険や福利厚生などから給付金が支給されるなど、収入に含まれる項目が新たに生まれるのです。
妻が働いている場合は月々の給料も収入額に含まれます。
それらの収入項目から支出項目を差し引き、不足した金額を生命保険の保障額として設定します。
これが、必要保障額の基本的な考え方です。
しかし、生命保険に加入する際の家族環境が、実際に死亡保障金を得る時の環境と全く同じであるケースはありません。
加入者が死亡した場合は、その分の生活費を支出から差し引いて考える代わりに、葬儀費用などを新たに加える必要があります。
子供の進学状況や年齢的に妻が働ける状態なのかを考慮したうえで、遺族の生活に必要な費用を算出していく必要があります。
必要保障額を算出するために!
支出と収入の計算項目 必要保障額を算出するためには「支出」と「収入」の項目に、どのような要素が含まれているのかを具体的に把握しておく必要があります。
まずは、支出の項目に着目してみましょう。
支出の項目に当てはまるのは
● 生活費
● 住居などのローン
● 教育費
● 葬儀関連代金
などが当てはまります。
人が死亡したときに、早急に必要になるのが葬儀関連代金です。
一般的に、葬儀にかかる費用は約150万円~200万円といわれています。
生活費には、賃貸に住んでいる場合の家賃や水道代、光熱費、食費などが含まれています。
子供がいる場合には進学させるためのお金を用意する必要があり、これらの要素を含めると数千万円が支出として計算されます。
次に、収入の項目に着目していきましょう。
収入の項目に含まれるのは、
● 遺族の給与
● 相続資産
● 福利厚生による給付金(死亡退職金や死亡見舞金)
● 遺族年金のほか、公的な健康保健から支給される給付金など
が挙げられます。
収入の項目で注意が必要なのは相続資産です。
資産を相続する際には、相続税などの税金がかかります。
相続資産を収入に含める際には資産に対しどの程度が課税され、収入として含めることができるのはいくら程度になるのかを、目安として把握しておく必要があります。
適切な必要保障額をシミュレーションするコツ!
適切な必要保障額を算出することは、支払う保険料を最小限に抑えながら家庭に合った保障を充実させます。
しかし、必要保障額の見積もりと実際にかかる費用が大幅に違ってしまうと、不要な保険料を支払うことになったり、後に家族を困らせてしまう事態を招いてしまったりと問題に発展しやすいです。
適切な必要保障額を算出するためには
● 現在から未来にかけてどのような生活を送りたいのかを具体的にイメージす
● 加入者が亡くなったあとの生活費を算出する
● 遺族の支出に対する収入の不足額を明確にする
などの点を押さえることが大切です。
特に、「どのような生活を送りたいのか」という希望は、時間によって変化します。
適切な必要保障額を導き出すためにも、生活のイメージについては配偶者とよく話し合いましょう。
また、必要保障額を設定する際に注意すべきなのは「必要保障額は年々下がっていく傾向にある」という点です。
たとえば、保険加入時には必要な支出として計算していた学費も、子供が大きくなり実際に進学をするにつれて額は減っていきます。
最終的に、必要保障額から学費の項目は必要なくなるでしょう。
不必要な保険料を支払わないためにも、定期的に必要保障額をシミュレーションすることが大切です。
少な過ぎても多過ぎてもダメ!
適切な必要保障額を考える 支払う保険料を抑えすぎると、万が一の際に金銭的な理由から家族を困らせてしまう事態に繋がります。
一方で、保障の内容を重視するあまり、保険料が高額になり過ぎてしまっては家計を圧迫してしまうことも事実です。
万が一の出来事に賢く備えるためにも、適切な必要保障額の算出方法を知っておくことは大切です。
また、必要保障額は時が経つにつれて変動していくものであるため、定期的な見直しを怠らないようにしましょう。
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