不動産投資をはじめる際「利回り」が気になる方も多いのではないでしょうか。
せっかく投資するのであれば、少しでも利回りの高い物件に投資したいものです。
しかし「利回り」を意識しすぎるあまり、予想外の出費やリスクが発生するなど、気を付けるべき項目もあります。
この記事では、不動産投資をはじめる方向けに、利回りの考え方や地域ごとの相場、注意点について徹底解説しています。
【監修者】青柳 雄太郎
株式会社BrightReach(ブライトリーチ)代表取締役。 大手コンサルティングファームでの経営コンサルタント、不動産投資ファンドでのファンドマネージャー、 外資系生命保険会社での経営企画部門を歴任し、現在に至る。 生命保険・損害保険・不動産仲介・不動産売買・人材紹介事業を展開。 会社経営を行いながら、年間100件以上の個人や法人の資産運用・ライフプランニング・ 保険見直し・ 不動産取引のコンサルティングを行っている。 宅地建物取引士。 慶應義塾大学理工学部卒。 |
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不動産投資の利回りはさまざまです。
ここでは3種類の利回りについて、概念や算出方法をみていきましょう。
表面利回りとは、年間の賃料収入の合計金額を物件価格で割った数字です。
不動産会社による物件情報の多くは、表面利回りで計算されており、シンプルで分かりやすい算出方法でしょう。
表面利回りの計算式は以下の通りです。
表面利回り(%)=年間賃料収入÷物件購入価格×100 |
たとえば、物件購入価格が5,000万円、家賃が月15万円の場合、
15万円×12ヶ月÷5,000万円×100=3.6%(表面利回り) |
このような物件で、空室が一切ない場合、表面利回りは3.6%となります。
表面利回りは、諸費用などの詳細が分からなくても、賃料収入と物件の購入価格で簡単に算出できるため、知っておくと非常に便利です。
実質利回りは、物件購入時や運用中の経費も考慮したうえで算出します。
実質利回りの計算式は以下の通りです。
実質利回り(%)=(年間賃料収入-年間運営経費)÷(物件購入価格+物件購入時の経費)×100 |
たとえば、
このような条件の場合、
(180万円-36万円)÷(5,000万円+300万円)÷100=2.7%(実質利回り) |
となります。
実質利回りは経費を加味することで、一般的に表面利回りよりも低く算出されます。
表面利回りで算出された数字だけを鵜吞みにすると、収支計画が大きくずれることがありますので注意しましょう。
想定利回りとは、満室で稼働していると仮定して計算される利益率のことです。
想定利回り(%)=年間収入÷購入価格 |
年間収入は基準となる家賃が、物件内の最高額で判断されていることも、めずらしくありません。
不動産の利回りは、家賃が高ければ高いほど、購入価格が低ければ低いほど高くなります。
しかし、家賃や購入価格だけで決まるわけではありません。
利回りはアクセスや築年数、投資物件の構造の違いによって大きく異なります。
物件ごとの利回りの特徴をみていきましょう。
一般的に、都市部の物件は購入価格が高いため、利回りが低くなります。
反対に、郊外の物件は購入価格が低く、利回りが高く算出されます。
ここでは、東京都港区と東京都八王子市の1Kの物件で比較してみましょう。
物件価格 | 年間賃料収入 | 表面利回り(%) | |
東京都港区 |
2934万円 |
124万円 | 4.22% |
東京都八王子市 |
883万円 |
46万円 | 5.2% |
都心の物件は物件価格が高く、利回りが低い傾向にあります。
都市部と郊外では同じ間取りや広さでも、得られる賃料収入が変わるのはもちろんのこと、物件価格が大きく異なります。
港区のような好立地の物件では、物件の購入価格に対して得られる賃料収入が低くなるため、表面利回りが小さくなるのです。
利回りは物件の築年数も大きく影響します。
新築物件の利回りは、一般的に3%~5%程度です。
新築物件は購入価格が高いため、利回りは低くなります。
しかし、長期的にみるとメンテナンス費用がかからず、空室になりにくいため、安定的な賃料収入が期待できるでしょう。
一方、中古物件の利回りの目安は4%~10%程度と新築物件に比べて高いです。
新築物件よりも購入価格が抑えられるため、築年数が古い物件ほど高利回りになりやすいでしょう。
ただ、空室リスクや修繕費用がかさむ場合もあるため、慎重に選ぶことが大切です。
物件の構造によっても、利回りの違いが出ることがあります。
一般的に、木造の利回りが一番高く、次に鉄骨構造、RC造となります。
これは、物件の構造が頑丈でコストが高くなりますが、それほど家賃としては変わらないためです。
利回りを考える際には、購入を検討する物件の構造も確認しておきましょう。
2024年4月に実施された、一般財団法人「日本不動産研究所」の不動産投資家調査によると、地域別の平均的な利回りは次の通りです。
地域 | 利回り(ワンルーム) | 利回り(ファミリータイプ) |
東京 | 3.8% | 3.8% |
札幌 | 5.0% | 5.0% |
仙台 | 5.0% | 5.0% |
横浜 | 4.4% | 4.4% |
名古屋 | 4.5% | 4.6% |
京都 | 4.7% | 4.7% |
大阪 | 4.3% | 4.3% |
神戸 | 4.7% | 4.8% |
広島 | 5.1% | 5.2% |
福岡 | 4.5% | 4.5% |
都市部の利回りは地域ごとに大きな差はなく、5%前後が一般的です。
不動産投資の「利回り」を考える際に、おさえておきたいポイントは以下の5つです。
利回りの高さで物件の良し悪しを判断するのは要注意です。
収益を得るために利回りは大切な指標ですが、高いからといって良い物件とは限りません。
なかには、管理状態の悪い中古物件や管理費などの積立金が高額な物件もあります。
はやい段階での大規模修繕や、毎月の積立金が大きな出費となり、収益がそれほど見込めないことも考えられます。
また、一般的に利便性の低い物件は販売価格が低いため、利回りが高い傾向にあります。
しかし、駅から遠いなど、アクセスの悪い物件は、ニーズが少なく空室になりやすいため、賃料収入が安定しない場合もあるでしょう。
投資物件購入時の利回りを維持し続けることはできません。
不動産は現物資産であるため、年数とともに劣化していきます。
そのため、物件が古くなると入居のニーズが減少するため、家賃を下げざるを得なくなるのです。
加えて、大規模修繕などの出費が発生し、実質利回りが下がってしまいます。
物件の購入時の利回りで中長期の収支を想定すると、赤字になるかもしれません。
利回りが低下するリスクを見込んで、不動産投資のシミュレーションをたてましょう。
不動産投資には、さまざまな経費がかかります。
一般的に、表面利回りには経費は加味されておらず、利回りだけで判断することは出来ないでしょう。
不動産投資をはじめる際に必要な経費は、以下のものがあります。
また、運用中にも修繕費や管理費、固定資産税などを支払わなければなりません。
これらの費用をあらかじめ確認したうえで、物件を購入することをおすすめします。
利回りが高すぎる物件には、注意が必要です。
なかには、条件の悪い物件の売却価格を下げ、利回りを高く見せているケースもあるからです。
たとえば、事件や事故、なにかしらの欠陥がある物件、築年数が古いなど、悪条件を抱える案件もあります。
悪条件の物件を一度購入すると、賃料収入が安定しないだけでなく、その後の売却も難しいでしょう。
利回りが極端に高い物件の場合には、必ず物件の詳細や周辺状況を確認しましょう。
投資用物件の運用は、空室になるリスクも考慮しておこないましょう。
中長期で、物件を所有していると、入居者がなかなか入らず空室が続くこともあるかもしれません。
特に、物件の築年数が古くなると、空室リスクは高まるため、想定したうえで投資するか判断しましょう。
投資物件の購入時には、利回りを気にしてしまいがちですが、利回りが低くても購入する価値の高い物件も存在します。
以下のような物件は、低利回りでも購入を検討するのもひとつです。
賃貸物件のニーズの高いエリアの物件を選びましょう。
すみたい街ランキングの上位のエリアや大学周辺など、賃貸物件の需要が高い地域であれば、安定した賃料収入が得られる可能性が高いです。
また、投資物件を売却するタイミングでも次の買い手が付きやすく、高値で売却しやすいでしょう。
低利回りの物件の場合、メンテナンスが行き届いた物件がおすすめです。
築年数が古く大規模修繕などがおこなわれていない物件の場合、たとえ高利回りであっても高額な修繕費が発生したり、賃借人とのトラブルになったりするケースもあります。
防水工事や外壁塗装などのメンテナンスがきちんとおこなわれた物件であれば、取得後の出費や手間が少ないでしょう。
中長期で投資物件を所有する場合、資産価値が下がりにくい物件を選びましょう。
資産価値の高い物件の特徴は以下の通りです。
利回りはそれほど高くなくても、資産性が高く家賃が落ちにくい物件であれば、資産形成の一つとして所有するのもよいでしょう。
不動産投資において、利回りは物件選択の際に重要な指標の一つとなります。
しかし「高ければ高いほど良い」というものではなく、立地や物件状況を把握したうえで物件選びをしなければなりません。
物件を購入する場合、初期費用やその後のコストがいくら発生するのかなど、収支計画を立てるようにしましょう。
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不動産投資は数千万円単位のお金を借りて行う人が大半なので、条件の悪い物件をつかまされて、将来自己破産に追い込まれるなどの事態は絶対に避けたいはずです。そこでおすすめしたいのが、第三者視点でプロから不動産投資についてアドバイスがもらえる「Dr.マンション投資」です。
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