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銀行カードローンは貸付の自主規制で審査に通りにくくなった
とよく言われます。
以前は銀行カードローンによる過剰融資が社会問題になったほどです。
しかし現在は銀行カードローンは実際に自主規制により審査が厳しくなっており、それは令和元年より銀行カードローンの貸付残高が減少に転じたことからも明らかです。
総量規制対象外で借りれる、総量規制オーバーの借り入れができると人気を博した銀行カードローンの審査はどうして厳しくなってしまったのか。
貸付自粛が行われるきっかけとなった銀行カードローンの過剰融資問題と、その後の銀行カードローン融資の自主規制・貸付自粛について解説します。
2010年6月の改正貸金業法による総量規制の導入により、消費者金融での借入は他社借入を含めて総額で年収の3分の1以内とされました。
これにより消費者金融の貸付残高は大きく減少し自己破産件数もさらに減少するなど、消費者金融に起因する多重債務・過剰融資問題に対して一定の効果を上げることができました。
しかし消費者金融の貸付残高が減る一方で、大きく融資額を伸ばしてきたのが銀行カードローンです。
データ元
銀行カードローン貸付残高/日銀統計調査表 業種別貸出金調査表
消費者金融貸付残高/月次統計資料(バックナンバー) | 日本貸金業協会
消費者金融に総量規制が導入された5年後の2015年には銀行カードローンの貸付残高が消費者金融をついに上回り、現在にいたるまでこの状況は続いています。
そして銀行カードローンの貸付残高に増加に伴い、13年間減少を続けてきた自己破産件数も平成28年から再び増加に転じました。
司法統計情報 | 裁判所 – Courts in Japanより破産新受事件数 受理区分別 全地方裁判所を抽出・グラフ化
銀行カードローンの貸付残高が消費者金融を上回ったのと同じ時期に、自己破産件数も再び増加傾向となったのです。
銀行カードローンの貸付残高が消費者金融を上回った要因は、銀行カードローンの消費者金融に対する商品優位性に他なりません。
2015年当時の消費者金融と銀行カードローンを比較すると、およそ以下のようになります。
消費者金融 | 銀行カードローン | |
最高金利(実質年率) | 年率18.0% | 概ね年率14.5% |
借入限度額 | 年収の3分の1以内まで | 年収の3分の1を超えても借りれる |
即日融資 | 可能 | 可能 |
当時の主な宣伝文句 | 即日融資も可能! | 即日融資も可能! 総量規制対象外! 借入300万円以下は収入証明書不要! 消費者金融からの借り換え・おまとめ一本化に! |
低金利で借入限度額も大きく、総量規制対象外で年収の3分の1を超えた借入もできる銀行カードローンが消費者金融よりも選ばれるのは自明の理でした。
また当時の銀行カードローンは審査での警察庁のデータベース接続がまだ開始されておらず、申込み当日の即日融資も可能でした。
消費者金融の最大のメリットである即日融資も銀行カードローンに優る要因ではなく、当時の金融系メディアもこぞって銀行カードローンのおすすめに余念がありませんでした。
銀行と消費者金融の持つイメージの違いも銀行カードローンの過剰融資に大きく作用しました。
同じお金を借りるにしても、
では銀行カードローンの方が、多くの人にとって安心感があり心理的なハードルも低く感じられたのです。
「銀行が貸してくれるというのなら・・・」という安心感から安易に銀行カードローンを利用する人が目立ったのもこの頃の特徴でした。
この銀行カードローンによる過剰融資の状況に対し、いち早く警鐘を鳴らしたのが日弁連(日本弁護士連合会)です。
2016年9月、日弁連は「銀行等による過剰融資の防止を求める意見書」を内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣、衆参両議院議長、全銀協会長へ提出します。
この意見書は銀行カードローンに対しても消費者金融と同様に年収の3分の1を超える貸付の禁止を求める内容でした。
日弁連からの意見書を受け、全銀協(一般社団法人全国銀行協会)は半年後の2017年3月に「銀行による消費者向け貸付に係る申し合わせについて」を公表します。
しかしこの時の全銀協の申し合わせの内容は銀行カードローンの過剰融資問題の解消にはほど遠いものであるとして、日弁連は翌月の2017年4月に「全国銀行協会の「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を踏まえての会長声明」を発表しました。
この声明は改正貸金業法の趣旨を踏まえて銀行カードローンにも総量規制と同水準の審査体制の構築を求め、さらに金融庁に対しても銀行向けの監督指針に明記すべきと求めるものでした。
銀行等の消費者向け貸付けによる過剰融資の抑制のためには、銀行等の自主規制による対応だけでは不十分であり、金融庁は、上記の内容の審査態勢等の構築を求める旨を銀行等向けの監督指針に明記し、国は、貸金業法を改正して、貸金業者が銀行等の行う貸付けに保証を付す場合を総量規制の対象にすべきである
引用元:全国銀行協会の「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を踏まえての会長声明|日本弁護士連合会
この日弁連の会長声明により、金融庁も銀行カードローンの過剰融資問題に対して動き出します。
金融庁は銀行カードローンによる過剰融資の実態について調査を開始し、その内容を3回にわたって公開しました。
金融庁の行った最初の銀行カードローン検査中間とりまとめでは、カードローン貸付残高が多く全体の6割を占める12行のみが検査対象でした。
しかし令和元年(2019年9月)のフォローアップ調査結果ではカードローンを取り扱う全銀行(120行)を対象とした調査結果になっており、事態を重く見た金融庁の指導ぶりがうかがえます。
現在の銀行カードローンは総量規制こそ法律的には定められてはいないものの、金融庁の指導の下で貸金業者の総量規制の水準に近い貸付自粛・自主規制が行われるようになりました。
現在の銀行カードローンの貸付の自主規制の中身については、金融庁が令和元年9月に公表した「銀行カードローンのフォローアップ調査結果について」にまとめられた内容から知ることができます。
この調査結果は金融庁がカードローンを取り扱う全銀行に対して行った調査のため、この調査結果の通りの貸付の自主規制が行われていると考えて間違いないでしょう。
画像引用元
銀行カードローンのフォローアップ調査結果|金融庁、本文より抜粋
現在の銀行カードローンは消費者金融と同様、すべての銀行で50万円以上の借入には収入証明書類が必要になっています。
中には基準を定めずにカードローンの申込者に対しては全員一律で収入証明書類の提出を求める銀行もあります。
極度額が50万円以下の銀行カードローンでは収入証明書類を取得しないと回答しているところもあります。
しかしこのうちセブン銀行ローンサービスでは新規の申込みは限度額を最大30万円までとし、契約後に50万円以上の増額を希望する場合に収入証明書類の提出を求めるようになっています。
銀行カードローンでお金を借りるのであれば、収入証明書類は借入希望額にかかわらずいつでも提出できるように準備するのがよいでしょう。
画像引用元
銀行カードローンのフォローアップ調査結果|金融庁、本文より抜粋
貸金業法による総量規制対象外の銀行カードローンですが、融資限度額の設定には消費者金融での借入金額も勘案すると回答している銀行が全120行中、102行あります。
全体の85%の銀行カードローンが貸金業者での借入を勘案して審査を行っているのです。
融資上限を総量規制と同じ年収の3分の1にしている銀行は14行と、全体としては1割強で少数派です。
銀行カードローンが自主規制により総量規制と同じ年収の3分の1までしか借りれないと断言するにはまだ時期尚早でしょう。
しかし銀行カードローンで総量規制を超えた借入をするとしても、消費者金融での借入も含めて最大で年収の半分程度までしか借りれない状況になっているのです。
銀行カードローンの貸付の自主規制には、消費者金融の総量規制のような法的な義務付けは今のところありません。
しかし消費者金融での借入状況も踏まえた上での審査・限度額設定を行うことで、過剰融資対策としてはかなり効力のある業界自主規制になっていると言えます。
銀行カードローンの審査では消費者金融での借入・返済状況もしっかり見るようになり、消費者金融で借入があると、融資額はあまり期待できなくなったのです。
金融庁のフォローアップ調査では、銀行カードローンを扱う全120行のうち102行が他行や消費者金融での借入を融資上限枠の設定において勘案すると回答しています。
そして融資額は年収の2分の1を上限とする銀行カードローンが全体の7割近くを占めています。
これはつまり、消費者金融で総量規制ギリギリの年収の3分の1に近い借金があると、銀行カードローンでは融資枠をほとんど設定することができないため、審査に落ちる・借りれないことになります。
もちろん年収ベースではまだ借りれる計算でしょう。
しかし新規契約でいきなり年収の半分など、融資できる金額ギリギリで審査可決するケースは稀です。
今は消費者金融での他社借入があると、借りている分だけ銀行カードローンの審査が通りにくくなっていると判断するのが妥当です。
銀行カードローンは今でも総量規制対象外であり、総量規制オーバーでも借りれるのが銀行です。
しかし業界自主規制により銀行カードローンで年収の3分の1以上のお金を借りるには、総量規制対象となっている消費者金融やクレジットカードのキャッシングでの借入が一切ないことが条件になってきています。
銀行カードローンが自主規制により消費者金融等での借入も勘案して審査を行うようになったため、銀行カードローンの審査に通るのは貸金業者での借入が一切ない人か、あってもごく少額で返済能力に大きく余裕のある人に限定されるようになりました。
しかし逆に言えば、カードローンでお金を借りるのが初めての人にとっては、銀行カードローンは消費者金融よりも低い金利で身近に借りれる金融商品となります。
カードローンで初めてお金を借りる人やこれから消費者金融でお金を借りようとしている人は、急ぎでなければ銀行カードローンがおすすめです。
銀行カードローンは即日融資こそできませんが、早ければ2営業日で融資が完了するところもあります。
この記事のまとめ
銀行カードローンは総量規制対象の消費者金融での借入状況を審査で重視するようになったため、消費者金融での借入があると審査通過が難しくなっています。
総量規制で年収の3分の1までに借入が制限されている消費者金融や貸金業者の利用状況も精査することで、実質的に総量規制に準じた融資額の設定になっているのが今の銀行カードローンと言えます。
金融庁の調査結果を見る限り、銀行によってはカードローンで年収の2分の1まで借りれるところも確かにあります。
しかし実際には年収の半分まで誰でも借りれるわけではなく、新規契約後に利用実績を積み、増額審査を何度も経てようやく年収の半分まで借りれるというのが正しい見方です。
銀行カードローンは初めてお金を借りる方にはおすすめですが、他社借り入れあっても借りれるカードローンをお探しの方は消費者金融を中心に借入を検討しましょう。
【編集方針】
当記事は金融業界の知識・経験が豊富なライター陣を擁し、可能な限り外部の専門家の監修を受けつつ制作しています。
金融商品についてはメリットだけでなくデメリットも明記し、誇張・偏向・捏造を排し極力中立的な視点に立って執筆しています。
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当記事が主に参照している法律・公的機関・関連団体等は以下のとおりです。
銀行法、貸金業法、利息制限法、出資法、金融庁、消費者庁、警察庁、国税庁、財務省、厚生労働省、内閣府、政府広報オンライン、日本貸金業協会、全国社会福祉協議会、日本クレジットカード協会、JICC、CIC、全国銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、全国労働金庫協会、金融財政事情研究会
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