ワールドコイン（WorldCoin）は、「OpenAI」のCEOであるサム・アルトマン氏が共同創業したプロジェクトです。

人工知能の進化により、人間とボットの区別が難しくなる未来に備え、世界中の人々がグローバルな経済にアクセスし、利益を享受できる未来を作ることを目的としています。

ワールドコインプロジェクトのトークンである「WLD」は、2023年7月24日に発表され、同日に取引所へ一斉上場したことで注目されました。

しかし、プライバシーやセキュリティ、マーケティング方法など、いくつかの懸念点が残っています。本記事ではワールドコインの特徴や将来性、懸念点などを紹介していきます。

ワールドコインは暗号資産であり、ボラティリティが高い通貨です。一方で、暗号資産のなかでも比較的価格が安定している通貨もあります。

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引用：公式サイト

※CoinMarketCap参照

ワールドコインは、AI時代において、国や個人の背景にかかわらず、世界経済への普遍的なアクセスの提供を目指す暗号資産です。

そのビジョンは、ユニバーサルベーシックインカム（UBI）の理念に基づき、AIによるベーシックインカムを導入しております。そうすることで人々に平等な機会を提供し、新たな経済活動や未来を切り開くことを可能にしました。

ワールドコインは本人証明に基づくプライバシー保護デジタルIDネットワーク「World ID」と連携し、オンライン上での個人認証を提供しています。これにより、AIやBotが進化するなかで難しくなるオンライン上の本人確認を解決し、投票や資金提供などの活動を容易にします。

生体認証デバイス「Orb」は、2023年7月25日に東京国際フォーラムで開催されたWeb3カンファレンス「WebX」で実証実験が行われました。

ここではワールドコインの特徴を紹介します。

ワールドコインは「World ID」というデジタルIDを提供しており、誰もが無償で取得可能です。

World IDは虹彩（目）の特徴をデジタルデータに変換し、個々の固有のデジタルIDを生成します。これは、AI時代に備えたものであり、デジタル上で自身が唯一の人間であることを証明可能です。

虹彩データの収集は、球体状のデバイスである「Orb」を使用して行います。Orbは現在、20の国や地域で稼働しており、World IDの発行に対応しています。

また、World IDの付与やOrbのスキャンには、ワールドコイン財団が提供する専用のウォレットアプリが必要です。東京にもOrbが設置されており、条件さえ揃えば誰でもワールドコインを受け取れます。

2023年5月8日に、初の専用ウォレット「World App」がリリースされました。現在、World Appは以下の5つのトークンに対応しています。

さらに、World Appのウォレットには「Uniswap」のシステムが統合されており、Uniswapのトークンも取引できます。

World AppのウォレットにWorld IDを登録すると、送金に必要なガス代が無料になるだけでなく、毎月通貨を配布する「Worldcoin助成金」の申請も可能です。

ワールドコインを受け取りたい方は、World AppやWorld IDの登録を済ませておきましょう。また、国内取引所で購入したイーサリアムを「World App」に送金しておくと、Uniswapで通貨の取引が簡単にできます。

ワールドコインプロジェクトの参加者は、バレーボールほどの大きさの生体認証装置「Orb」で目の網膜をスキャンすることで、暗号資産を受け取れます。

Orbは個々の目の虹彩をデジタルコードに変換して保存し、プライバシーを守りながら個人を識別します。

アプリを使うには、IDを取得せずに眼球スキャンを実行することもできますが、無料でトークンを受け取るためにはスキャンが必要です。

さらに、ユーザーは将来的に、虹彩生体認証で生成されたWorld IDを、個人の身元を明かさずに、日常生活のさまざまな場面で使用できる構想を描いています。

ワールドコインは、「Open AI」のCEOである「サム・アルトマン氏」が立ち上げ、注目を集めました。Open AIは「ChatGPT」などのAIサービスを提供し、その技術は世界中で話題となりました。

ChatGPTは、AI技術を駆使して、人間との会話に近い品質でメッセージのやり取りが可能なAIチャットサービスです。リリースからわずか2カ月で1億人以上のユーザーを獲得するなど、驚異的な反響を呼びました。

近年では、テレビやYouTube、教育現場など、さまざまな分野でChatGPTが活用されており、今後もそのサービスの拡充が期待されています。

ワールドコインの開発者がChatGPTの開発元CEOであることから、そのサービスに対する期待は高まっています。

引用：CoinMarketCap

ワールドコインのメインネットは2023年7月23日に開始され、「Binance」などの主要取引所で取引がスタートしました。

OpenAIのCEOの関与によりワールドコインは初日から急騰し、約400円で取引されました。その後徐々に価格が下落し、2023年8月には約200円前後で推移しています。

しかし、2023年10月後半から上昇トレンドが形成され、特に11月以降は激しい値動きを繰り返しながら、高値を更新し続けました。

11月から12月にかけては、ワールドコインIDの対応アプリ拡大や、決済サービス「スラッシュペイメント」の対応など、ワールドコインに関するポジティブなニュースが影響したと考えられます。

また、ビットコインの現物ETF承認期待から仮想通貨市場全体での上昇も、ワールドコインにとって追い風となりました。2024年2月には、過去最高値1,700円を更新する急騰が見られました。

これは、OpenAIの動画生成AI「Sora」が発表されたことが影響したと考えられています。現在は約1200円台まで価格が下落していますが、まだ高値圏での推移をしています。

ワールドコインは将来性が高い暗号資産だといえます。ここではワールドコインの将来性がなぜ高いのか紹介します。

Worldcoinプロジェクトは、過去に複数の資金調達に成功しています。

2021年には約33億円を調達し、2022年3月には、有力な「ヴェンチャーキャピタル（VC）」や「Coinbase Ventures」などから約130億円を調達しました。また、2022年10月中旬までには、合計2,500万ドル（約28億5,000万円）を調達しています。

最新の報道によると、ワールドコインはさらなる資金調達を計画中で、評価額30億ドル（約3,900億円）最大1億2,000万ドル（約158億円）を調達する予定です。この調達は、株式と暗号資産の予約権の販売によって行われる見込みです。

ワールドコインは、主に海外でサービスの展開が進んでいます。

2023年6月には、ドイツでWorld IDの導入が始まりました。これは、「Auth0」というOktaの認証プラットフォームに、World IDによる認証機能が追加されたことを意味します。

2023年7月には、スペインでWorld IDのアクセスが拡大しました。スペインの重要な技術団体「Adigital」と「Tech Barcelona」にサービスが提供されるようになりました。

ドイツでの「Auth0」の導入は、日本のdocomoやマツダ、スバルなどの大手企業でも使用されており、今後は日本でもWorld IDを利用したログインが可能になるかもしれません。

これらの海外での展開により、ワールドコインの需要が今後さらに高まる可能性があります。

2023年から、生成AIの分野は大きな注目を集めており、この動向はワールドコインの未来にも影響を与えます。

2024年3月現在、ワールドコインの価格急騰には、OpenAI社が開発した動画生成AI「Sora」の発表が大きく関係しています。Soraはユーザーの要望に応じて1分間の映像を作成するAIモデルで、まだサービスが開始されていませんが、発表後に期待が高まりました。

同時に、暗号資産市場全体の上昇も影響しています。今後、OpenAIのプロジェクト進展がワールドコインの価格動向にも影響を与えるでしょう。

将来性が高いワールドコインですが、懸念点があるのも事実です。ここではワールドコインの懸念点を紹介します。

現時点では、ワールドコインは海外取引所のみで取引されています。そのため、国内取引所での購入はできません。

ワールドコインを購入するためには、以下の手順が必要になります。

海外取引所では、日本円での取引ができないため、暗号資産を送金して取引を行います。

ただし、今後国内取引所でも取り扱いが開始されると、価格が急上昇するかもしれません。ワールドコインはOpenAIのCEOが立ち上げたもので、これまでの成功例も考慮すると、多くの投資家が関心を寄せているため、期待値は高いです。

ワールドコインは革新的なプロジェクトですが、その課題に対する批判は少なくありません。

イーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏は、「個人のプライバシーに関する虹彩情報の収集」「ハッキングによるセキュリティリスク」の懸念を述べています。

特に、虹彩情報は個人を特定する重要な情報であり、プライバシーやセキュリティに深刻な影響を及ぼすかもしれません。

他にもワールドコイン財団による中央集権化を指摘しており、このような懸念からワールドコインのエコシステムの成長には課題の解決が不可欠です。

ワールドコインは開発途上国の貧困層への不適切なマーケティングや現金、物品の配布などを行っているとの批判があります。

これについてワールドコインは、「自らのプロジェクトがユニバーサルベーシックインカムの実現に貢献する」と主張していますが、その効果や実現性には疑問があります。

また、ワールドコインはAI時代の到来により、人間とボットの区別がつかなくなると予測していますが、信憑性があるわけではありません。

ワールドコインは新しい技術であるため、さまざまな懸念点が残ります。一方で、暗号資産にはビットコインのような歴史が長い通貨、USDTのように法定通貨に価格が連動する安定感のある通貨もあります。

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ワールドコインは、Open AIのCEOであるサム・アルトマン氏が率いるチームによって開発された暗号資産です。

本記事で紹介したワールドコインの特徴を復習しておきましょう。

ワールドコインの目標は、個人の尊厳や平等を尊重し、基本的な生活水準を確保し、人々に平等な機会を提供することです。

このプロジェクトは未来の不確実性があり、将来性に対して疑問の声もありますが、これまでにない野心的な取り組みとして注目されています。